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   テーマ 168 部下を知る理由

■「孫子の兵法」から学ぶ成果獲得の方法

「計画を立てる」、「戦略を立てる」、「戦術を立てる」
いずれも最終目的は、「目標を達成する」、

言い換えると「獲得すべき成果を獲得する」
ということになります。

戦国の時代では、計画、戦略、戦術を立てる場合は、
負けると死が待っているため

「戦いに必ず勝つ」ということが、
最終目的(獲得すべき成果)となります。

今から2500年前の孫武の作といわれる、孫子の兵法では、
「戦わずして勝つ」のが
最上の戦い方であると記述されております。

「戦わずして勝つ」とは、話し合いによって解決する
ということになりますが、
戦国時代では、相手を調略するということになります。

調略をする際に、相手を納得させる計画を立案するためには、
「相手のことを綿密に調べ上げる」ことが必要となります。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
という言葉も孫子の兵法にでてくる言葉です。

孫子の兵法では、
「戦争は、政治目的を達成することが目的であって、
 戦い自体が目的ではない」、

敵国を傷つけることなく降服させる
「戦わずして勝つ」のが最上である。

したがって、
「最高の戦い方は、敵の意図を見抜いてこれを封じることである。
 これに次ぐのは、敵の同盟関係を断ち切って

 敵を孤立させることである。第3が戦火を交えることであり、
 最低の策は城攻めである。」
といっています。

「勝算なきは戦わず」が孫子の基本的な考え方で、
「勝ち目のない戦いを行うことは、愚の愚である」ともいっています。

■成果を必ず獲得するためには相手をよく知ること

顧客に商品を販売する場合は、事前に顧客のことをよく調べます。
いわゆるマーケティングを行います。

ドラッカーは、その著書「断絶の時代」でマーケティングとは
「販売を不要にすること」と言っております。

お客様のことをよく知って、お客様の希望や欲求にかなう
商品をそろえると宣伝や広告などはしなくても
売れるということです。

部下育成にあたっても
「部下に成長してもらい部下の言動を
 6ヶ月後により優れたものに変える」

という成果を獲得するためには、
「部下のことを観察してよく知る」必要があります。

部下のことをよく知らないで育成計画を立てると、
「部下にとっては単なる押し付け」であったり、

「部下の希望とは異なる的外れな計画」
であったりということになり、

部下の方は、いやいや仕事をすることになり、
上司と部下のコミュニケーションは噛み合わず、
部下のモチベーションも上がることはありません。

司馬遼太郎氏は太閤記において、調略には敵が
「何を欲し、怖れ、魅力を感じているか、犀利な分析がいる」
と記しています。

「調略」という言葉や「戦いに必ず勝つ」という言葉は、
商品の販売、部下育成において、

相応しくないかもしれませんが、必ず成果を獲得するためには、
「相手のことをよく知る」という重要性は分かります。

顧客のことを知らないで商品を売る、部下のことを知らないで、
部下を指導・育成するということは、

孫子の兵法からいっても
「愚の愚」の行動ということになりかねません。

6ヶ月間の部下育成計画
(6ヶ月間部下の仕事の目標、行動計画)

立案にあたってもまずは、
部下の現状を日頃の職務遂行状況や

部下の長所、短所、希望、不安に思っていることなど
種々側面から多面的に把握し、知った上で、

今後の育成計画を立案することが必要となります。